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何年か前に、似たような絵を描いた記憶がうっすらと...。
確かめようにも、怖くて昔の絵が見られない(笑)。

***

ちびっこ瞬氏とがきんちょ氷河。

ある日、がきんちょ氷河がいつものようにバス停でスクールバスを待っていると、
見かけたことのないちびっこがとことことやってきて隣に並びました。

 「...........」
 「...........」

そわそわもじもじしているちびっこの様子を、がきんちょ氷河は見ていました。
ちびっこはがきんちょ氷河の方を見るでもなく、ただそわそわもじもじ。
しばらく二人の無言が続きます。

 「...........」
 「...........」

 「...........」
 「...........」

 「...........」
 「...........」

 「...........」
 「...........」

がきんちょ氷河が「おい、おまえ...」と話しかけようとした瞬間、
ププーとホーンを鳴らして大型四駆がバス停に滑り込みました。

 「瞬、車直ったぞ、乗れ」
と、運転席から、眉間に傷のあるごっつい大人が顔を出してちびっこに声をかけました。

途端に、ぱぁ、と顔をほころばせて、ちびっこはそそくさと車に乗り込んでしまいました。
ちびっこを乗せると車はすぐに動きだし、青信号を抜けてあっというまに見えなくなりました。

バス停にはがきんちょ氷河がひとり。

声をかけようとしたまま、ぽつんとひとりで取り残されてしまいました。

 「ちぇ、なんだよ」

がきんちょ氷河は小さくつぶやくと、行ってしまった車の方角から目を背けました。
反対側から、自分が乗る黄色いスクールバスがやってくるのが見えました。
もうちょっと早く来いよ、と思いながら、がきんちょ氷河はバスの到着を待ちました。

そうすればあのちびっこも一緒に乗ったのに。
そうすればあのちびっこと話が出来たかもしれないのに。

けれどもうちびっこは大きな四駆で行ってしまいました。

また会えるかは判りません。

 「ちぇ」

スクールバスのいつもの席に乗り、窓枠に肘をつくと、
がきんちょ氷河はガラスに映った自分に向かって舌を打ちました。

胸が詰まるような切ない気持ちの氷河を乗せて、
スクールバスはいつものようにのんびりと走ってゆきました。