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雪の匂いがして、
振り返る。
指先は凍えているから、
いちばん暖かいところで、
聞き取れない言葉を交わす。

*

  * 妖怪モーフ男 *

身長180cm前後。金色の体毛に青い目を持ち、
一部可変の体組織を持つ。
真冬の夜に瞬氏近辺に出没するらしい。
だが、その姿を見たものは皆、氷漬けにされて命を落とすと言われている。

シベリアから流氷とともに流れ着いた狼の亜種であるとか
幼少時の瞬氏が命を助けたノラ犬の生き霊であるなどと言われているが、
目撃証言自体が極めて少ないため、詳しいことはよく判っていない。

好物である瞬氏をエサにすることで簡単に捕獲できるのではないか、と
研究者達の間では生け捕りの計画が度々持ち上がるのだが、
「僕、イヤ。 」 
と、協力を拒まれてしまっているのが現状だ。

彼の協力を得られない限り、
我々が妖怪モーフ男の生態を把握することは非常に困難である。

妖怪モーフ男研究者のひとりとして
今後もねばり強い交渉を続けてゆくつもりだが、

「.........だって恥ずかしいもん.....」

という意味不明のコメントを頬を染めながら発言する彼に対して
いかなる手段を用いて捕獲計画への協力を促すべきか、
研究者の間でも意見が割れている。

我々と妖怪モーフ男の間に立ちはだかる壁は、
想像以上に大きいようだ。
妖怪モーフ男について、我々の研究が具体的成果を上げる日は
まだ遠いと言わざるを得ない。

非常に残念である。


              .......................................って、ふざけすぎ?(笑)