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繋がれるものよ、願うなら叶えよう。
空を望むなら、この翼が力になろう。
生を望むなら、この私が共にあろう。

*

繋がれ王子と白鳥王子。

繋がれ姫でもいいんだけど↑の瞬氏、ちょうど胸部が隠れているから、
すわ、女体化か?と思われたらそれはちょっと嫌だなって(笑)。

ぼーっと描いていたせいで、描き上がるまで
瞬氏の腰布の後ろ側を忘れていることに気付きませんでした。
なのでそのまま。

繋がれ王子の不安と希望の入り交じった視線を受けて、
白鳥王子はその白い翼を大きく振り上げると
目にも留まらぬ早さで一閃しました。
高い破壊音が空へ響き、
支点を失った鎖は鈍い音を立てて海へ落ちてゆきました。

「どこへ行きたい」

空と海と同じ色の瞳が、繋がれることの無くなった王子に訊いてきます。

「君が空から見ているものを見てみたい」

「空か」

「たぶん、そう」

言い終わると同時に、眼前に白鳥王子の白い両翼が大きく開かれました。
その羽根を隙間を抜けて、太陽の日射しが頬にあたります。

「僕は、ずっと、目を閉じて祈っているだけだった」

翼ではない腕に抱かれ、その胸に顔を埋めながら、
繋がれていない王子は誰にともなくつぶやきました。

白鳥王子の腕に力がこもり、
大きく広げられた翼が風をはらみ、打ちつけ、羽ばたき始めました。
強く抱きしめられた体が、ふわりと浮き始めます。
繋がれなくなった王子は、その胸の中で少しだけ体の向きを変えると、
それまで自分が居たあたりをそっと覗き見てみました。

そこには、
小さな岩がぽつんと突き出ていました。

たった、それだけだったのです。